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オレにさわるな!!
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ソレにシても……そうか、別に他の奴の部屋じゃナくて、オレの部屋でヤれば良いンだ。アソコなら、誰にも邪魔さレず出来る。

「――決まりダな」

「何?」

「交換学生が終わっタら、覚悟しテおけよ、畑!」

ビシッと人差し指を畑に突き付ける。
もう、どンなにオマエが嫌がっても、暴れても、絶対ヤってやる。
だからオマエも、ソレまでに心決めとけよ。

「おい、靖史」

畑の声を背中に聞いて、言うコトだけ言ってオレは畑たちの部屋を後にシた。





さて、部屋を出たノはいいが、何処に行こうか。あんなコトがアッた後だから、古岡の奴は泊めてクれネエだろうしな……。
今日が受け入れ11日目だから、後3日は大地がオレの部屋に居る訳だ。その間、オレは何処で過ごそうか……。畑の部屋は櫻庭の手前、泊めてモらう訳にはイかないしな。
途方に暮れ、1階の休憩室で椅子に座り込んで床を見てイると、突然目の前に影が出来た。誰かがオレの前に立ってイる。一体誰だと、頭を上げようとスると頭上から聞き覚えのアる声が落とさレた。

「兄さん」

ソノ呼び声に、身体が硬直した。恐る恐るゆっくりと頭を上げると、ソコには大地の姿がアった。

「よかった、ここに居たんだ」

正確にはココにずっと居た訳ではナい。しかしソんなコト、今は関係ない。
何も告げずに大地の横を通り過ぎようとスると、強い力で腕を掴まレた。

「兄さんっ」

縋り付くような動作に、思わず動きが止まる。大地の腕を振り払うコトは出来なかった。何時もナら、誰でアれ振り払ってイただろう。けれど、今は出来なかった。
中学生の大地の姿が、初めて会った頃の幼い子どもの姿と重なる。
オレを求めて縋るそんな大地を、振り払うコトが出来る筈ない。

「お願い、逃げないで」

泣きそうな声で、懇願する大地。
もう、逃げるコトは出来なかった。

部屋に戻るまで、大地がオレの腕を放すコトはナかった。
ドチラも口を開くコトなく、沈黙を保ったままで空気が重い。
部屋に着くまで生徒に一人も遭遇しナかったのは、不幸中の幸いかもシれない。
ドアの閉まる音が、無情に室内に響く。
大地に解放され、オレらは居間のソファに向かい合うように座り合う。

「………ごめんね」

沈黙を破ったノは、大地だった。
しかも大地が口にシたのは謝罪の言葉だった。






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